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この年の撮影はこの1本に尽きる。筑西市あげてのプロジェクトとして動き出した。オール筑西ロケの作品である
この映画のテーマは「いじめ」
重松清さんの原作を読んだ時点で気が滅入る。こんな内容の映画を本当にこの地域で撮るのか…
ましてや監督は生徒役は全て県内の学生によるオーディションで決めるという。
本当にできるのか、大丈夫なのか…
不安しかなかった。
県内各地から100名ほどの子供達がオーディションきた。
7月のクランクインに向けて 5月にオーディションが行われ、そこからワークショップが行われた。
いじめについての、それぞれの想いを吐き出していく。
実際にいじめにあっていた子も このオーディションに来ていた。
ワークショップを聞いているだけで締め付けられた。
いじめっ子役が見つからず、助監督が様々な学校に出向きスカウトしてきた3人組が現場にきた時、
ものすごい不安に襲われた。本当にこの子たちにこんな事させていいんだろうか…。
親御さんたちには何て説明すればいいんだ
当初は軽く考えていた彼らも 台本を受け取り 読めば読むほど自分が受けた事の重大さに驚いたそうだ。
悩みに悩んで彼らが出した答えは
「やるしかないです」
そう言って 彼らは役に徹してくれた。
彼らの姿に 私たちも この現場の全責任を背負い 最後までやり抜く覚悟を持てたのかもしれない。
撮影終了後、いじめられ役の子はこう言った。
「いじめられ役は演技でも辛い。だけど、カットの声がかかると
「ごめんな」と言って彼らが抱きしめてくれる。だから僕は頑張れました」
その言葉に 我々スタッフ側が救われた気がした。
いじめ問題を撮らせてくれる学校があるんだろうか?と思いながらも校長会にも出向き挨拶した。
そんな中、許可をくれた関城中学校には 言葉には言い表せない感謝だ
保護者の方にも集まってもらって 趣旨説明をさせてもらった。そして撮影にもご協力いただいた
撮影初日クラインイン
初日にして最大の山場。総勢700名での撮影「卒業式シーン」
これも関城中の先生はじめPTA 生徒さんの全面協力によって行われた。
真夏の卒業式シーン。服装は冬服。
カットがかかるとみんな一斉に上着を脱ぐ。
この繰り返し。汗だくの撮影
そんな中のエキストラさんの救いは主要全キャストが揃い
皆さんに向けられた言葉だったのかもしれない
その時、調理室はある陣営が総力をあげてミッションに取り組んでいた
市内飲食店の店主たち、支援メンバー総勢20名が
エキストラ、スタッフ、キャスト全700名分の食事の準備だ。想像を超えた量で
自分たちメンバーだけでは不可能だが、飲食店だからできる技量で仕上げていく。感謝しかない。
現場の全責任を背負った自分たちは、時として制作スタッフとは激しくぶつかり合いもした。生徒たちを守るためには理不尽な要求は徹底的にはねのけた。撮影を中断させても納得するまで食いついた。
それが我々の覚悟だ。
言い合いながら、ぶつかりながらも完成を目指す気持ちは一緒。
だからぶつかっても、納得できれば肩を組める信頼関係を結んでいった。
たくさんの想いの詰まった映画はなんとか完成した
下妻イオンシネマさんが先行上映してくれた。東京での試写会にも出向いた
そして何より ご協力いただいた地域の皆様への各所での先行上映会は どの会場も満員御礼となった
「辛いけど、頑張りぬいた子供達の演技に感動しました」と声をかけてきてくれた
主演の小出恵介さんにも 上映会で舞台挨拶をいただいた。
たくさんの想いの詰まった映画です。見る人にとっては辛い映画かもしれません。
笑顔になれる映画ではないかもしれません。
それでも機会があれば ご覧になってください。子供達を観てあげてください。
十字架ロケ地
●筑西市立関城中学校
●きぬ聖苑
●カラオケボックス
●民家
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